【2018年版】飲食店のための小規模事業者持続化補助金 採択のための3つのポイント

飲食店のための小規模事業者持続化補助金 採択のための3つのポイント

小さな飲食店が使いやすい補助金である小規模事業者持続化補助金。店舗改装、チラシ配布、インターネット広告、ホームページ作成などに使えるものの、採択率はそれほど高くないのが現状です。このブログでは、採択されるための3つのポイントをまとめました。これを参考に補助金申請に取り組んでみてください。

飲食店のための小規模事業者持続化補助金 採択のための3つのポイント

 (1)公募要領を良く読む

公募要領を良く読む

3つのポイントの1つ目。それは公募要領を良く読んで、指示があるものはその通りに記載するということです。

(事業実施場所が商工会議所の管轄の場合は日本商工会議所の公募要領を、商工会の管轄の場合は全国商工会連合会の公募要領をご確認ください。)

できれば、隅から隅まで3回ぐらいは読んでもらえると良いと思いますが、お店を経営しながらで時間も限られている方に「ここだけは読んでほしい!」という箇所をまとめました。(公募要領のページ数は日本商工会議所のものを引用しています。)

  • 公募要領P3〜:「重要事項」についてのご説明
  • 公募要領P27〜:経営計画書と補助事業計画書の記載例

特に記載例の項目の中にある四角囲みで※マークがついてるコメントは良く読んでください。ここで指示されていることはその通りに記載しましょう。この記載例ページを横に置いて、ご自身の申請書を作成しましょう。

公募要領確認箇所
  • 公募要領P79:審査の観点

ここは何回も読んでください。ここに書かれている項目で評価されます。とても重要なので、加点項目について以下に引用しています。

公募要領P79から一部省略して抜粋

  • ①自社の経営状況分析の妥当性
  • ◇自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか。
  • ②経営方針・目標と今後のプランの適切性 ◇経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。
  • ◇経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。
  • ※事業承継計画書提出者については、事業承継計画の内容も含めて審査します。
  • ※「今後の設備投資計画」(「様式2」の項目4-2)が記載されている場合は、同計画の 内容も含めて審査します。
  • ③補助事業計画の有効性
  • ◇補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなってい るか。
  • ◇地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を 達成するために必要かつ有効なものか。 (共同申請の場合:補助事業計画が、全ての共同事業者における、それぞれの経営計画 の今後の方針・目標を達成するために必要か。)
  • ◇補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
  • ◇補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。
  • ④積算の透明・適切性
  • ◇事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか。

従業員人数の判定や、補助経費に該当するかどうかも、公募要領を見ながら判断することになりますが、こちらはご自身の関係ある箇所だけ読んでもらえれば良いかと思います。

(2)ストーリーを考える

ストーリーを考える

3つのポイントの2つ目。それは補助金申請のために作成する「経営計画書」と「補助事業計画書」の2つの書類をストーリーに沿って作成するということです。

(2−1)採択されないのはなぜか?

当補助金の採択率は決して高くないです。なぜ採択されないのでしょうか。

最も採択されづらいものは、「お店の内装が古くなってきて新しくしたいと思ってたから補助金を申請しよう」とか、「前からホームページを作りたいと思ってたからこの機会に補助金で作ってもらおう」といった例です。

これらはどこが悪いのでしょうか?それは、当補助金の目的にある販路開拓に繋がるストーリーがないからです。お店の内装を新しくすることやホームページを持つことで、なぜ販路が開拓されるのかのストーリーを上手く伝えることが出来なければ、審査で採択されることは難しいでしょう。

(2−2)ストーリーはこう作る

それでは、肝心のストーリー構成を考えましょう。ストーリーは以下の構成で考えてください。赤字の部分は、公募要領にある審査の視点を一部省略して記載しました。

ストーリーはこう作る

それでは、各項目を順番に解説してきます。

・①自店舗の強み

ここでは自店舗の強みを考えます。できるだけたくさん考えて箇条書きにしてきましょう。またそれぞれの強みについて、その強みの根拠となる実績を具体的に考えましょう。

(公募要領の記載例にある海鮮居酒屋の場合)

  • 強み:漁師と専売契約を結んでおり、その日に獲れた新鮮なネタを刺身・寿司として提供できる。
  • 根拠:味に定評があり雑誌に取り上げられた。回転寿司と比較して2倍近い客単価で固定客がついている。

強みが思い浮かばない…。という方も、まずは思いつくものをどんどん書いていってください。補助金申請では多少厚かましいくらいに自店舗を持ち上げた方が見栄えが良くなるものです。

・②市場の環境

ここでは、市場の変化・競合店の動向・お客様のニーズなどについて、過去から将来までの流れで考えて行きましょう。

(公募要領の記載例にある海鮮居酒屋の場合)

  • 市場の変化:近隣では少子高齢化が進んでおり固定客が減少している
  • 競合店の動向:ランチは競合店が少ない。夕食は回転寿司が競合店
  • お客様のニーズ:ランチは満席が多く海鮮料理へのニーズは依然として高い

ここで重要なのは、自店舗の強みにフィットするターゲット顧客を見つけることです。なかなか思い浮かばない方は、今のメイン顧客からずらして考えてみましょう。

健康志向の若い女性に人気なら、やさしい味付けを活かしてシニア層を開拓できないか?/学生に人気なら、ボリュームを生かしたメニューで働き盛りのビジネスマンを開拓できないか?など

・③経営方針と今後のプラン

ここでは、自店舗の強みと、市場の環境を踏まえて自店舗の経営方針を考えます。そして、その目標を達成するためのプランを考えます。

(公募要領の記載例にある海鮮居酒屋の場合)

  • 経営方針:値下げ圧力に負けない経営(料理の質・味という強みを活かす)
  • 今後のプラン①:【ランチを100円値上げ】料理の質・味が評価されており(強みを活かす)、競合店が少なくランチは満席が続いている(顧客からのニーズがある)ため値上げができる。
  • 今後のプラン②:【デリバリーの開始】徒歩圏内は人口減少しているが、バイクでの配送圏内には高齢世帯が多い(市場の変化を踏まえてターゲット顧客を特定している)

自社の強みとターゲット顧客を繋げることが、経営方針と今後のプランの役割です。

自社の強みとターゲット顧客のニーズはマッチしていますか?経営方針と今後のプランは、自社の強みをターゲット顧客に届けられるものになっていますか?それぞれがストーリーでつながっているかを意識してください。

・④補助事業の内容

作成した経営目標と今後のプランを達成するために、必要な取り組みを考えます。ここまで来てやっと補助金の申請対象となる補助事業を考えることになります。採択されるかどうかは、補助事業の内容ではなく、これまでのストーリーに合った内容になっているかどうかが重要なポイントなのです。

また、ストーリーに合っているかどうかに加えて、以下の3つの加点ポイントがありますので、この点も補助事業に含められるように考えて見てください。

  • 補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
  • 補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。
  • 補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。

(3)わかりやすく書く工夫をする。

わかりやすく工夫する

3つのポイントの3点目。それは、わかりやすく書くということです。こうやって書くと当たり前のことなのですが、意外と出来ていない方が多いと思います。

審査員は多数の申請書に目を通すことになります。それこそ嫌になるくらいたくさんの申請書を見るでしょう。そういう状況を考えると読みづらい申請書は低評価になり、読みやすい申請書は高評価になるのは当然です。内容だけでなく読みやすさにも気を使いましょう。

では、申請書をわかりやすく書く具体的な方法について解説していきます。

(3−1)実績や目標は数字で書く

数字を書くことで具体性が一気に高まります。

(例)

× 売上が大きく伸びた ○ 売上が前年度同月比で約20%伸びた

× 顧客単価のアップを目指す  ○ 現在の顧客単価2,500円を2,800円まで伸ばす

(3−2)モノがあるものは写真を載せる

店舗の外観、内装、看板メニューなどはぜひ写真を撮って載せましょう。百聞は一見に如かず。どれだけ美味しい料理だと文章でアピールするよりも、美味しそうな料理の写真を載せる方が説得力があったりします。

(例)

× ウニをふんだんに使ったこだわりの海鮮丼

海鮮丼

(3−3)比較できるものは表形式で書く

売上や客単価の推移など、過去から現在までの時系列で比較するようなものなどは文章で書くよりも、表で記載する方が読みやすく、比較する意味が伝わりやすいです。比較するような内容のものは表形式に出来ないか考えて見てください。

例)

× ランチの売上は毎月50万円程度で、これに対してディナーの売上は100万円程度である。課題はランチの売上の底上げである。

ランチ ディナー 課題
売上高 50万円 100万円 ランチの売上の底上げ

(3−4)複数項目を書くときは箇条書きにする

自社の強みなど複数の項目を記載する場合は、文章で書くよりも箇条書きにする方が読みやすいです。

例)

× 当店舗の強みは新鮮な魚の仕入れルートを持っているところである。さらに、料理長は一流店で10年間の修行経験があり、料理の腕はかなりのものである。それだけなく、当店舗は内装にも強みがある。…(以下、続く)

○ 当店舗の強みは以下の3点である。

  • 当店舗独自の仕入れルートにより、新鮮な魚を毎日仕入れることができる。
  •  …
  •  …

 

いかがだったでしょうか。是非この記事に記載したポイントを参考に、補助金獲得の申請書づくりを頑張ってみてください。

◎◉ この記事のポイント ◉◎

  1. 採択のためのポイントは3点。公募要領を良く読むこと。ストーリーを考えること。わかりやすく書く工夫をすること。
  2. 公募要領に記載された審査のポイントを押さえながら、ストーリーを組み立てていくことがまずは重要。
  3. ストーリーに加えて、審査員が読みやすくなるための工夫も忘れないこと。数字で具体的に、写真を使う、表を使う、箇条書きにするなどは簡単に出来て効果的。